「横着る」と愛知の職人気質

「横着る。」愛知に来てよく聞く言葉です。「横着」とは、大辞林によると以下の定義です。

1.すべきことを怠けてしないこと。怠けること。 「-を決め込む」 「-して夕食を出前ですます」
2.① すべきことを怠けてしないさま。 「-な態度をとる」
② ずうずうしく,ずるいさま。 「-なやつ」

東京でも横着という言葉はたまに聞きますが、それが動詞化したものは聞きません。そして愛知ではこの言葉はもっとも恥ずすべき行為として解釈されます。その背景には、モノづくりの町であるので、手抜きや怠けることを嫌う風土があり、それは職人のプライドから許されないことであり、この言葉が日常用語として使われているのではないかと思います。

一方、東京では、これと似たような言葉は何でしょうか? 「横着」とは日常語ではほとんど出てきません。「手抜き」、あまりピンと来ませんね。私が思うに「要領が良い」ではないでしょうか?

「要領」

① 物事の主要な部分。要点。
② 物事をうまく処理する方法・手段。 「機械取り扱い-」 「-の悪い人」

要領が良いというのは、うまく手早く処理することが出来るプラスの意味と、「努力もせずにいいとこ取り」「手抜きしている」という侮蔑する意味も含んだ日常語ではありますが、基本的に定義通り、プラスの意味が多いと思います。

東京は、日本や世界からものが向こうからモノや情報が多量に集まってくる町であるので、何かを作り出すより、何かを素早く理解し、それを選択する能力が大切です。ですから、要領が良いのが、喜ばれるのでしょう。

また、愛知では、この横着るを恥と思うことが、意識の中に徹底しているゆえに、たとえ安いものでも手抜きしないし、結果として、喫茶店のモーニングや低価格で良いものを提供するお店が多い証拠なのでしょう。

ちなみに、友人の女性ものアパレルやグッズを売っているお店ですが、喫茶店を併設していますが、250円のコーヒーなのに、豆に拘って通常の喫茶店より明らかにおいしいものを出しているし、カレーはホテルで修行したシェフからレシピを聞いて作っているというありえないくらいのオーバースペックです。

これらは、愛知の人の品質に関する誇るべき美徳だと思います。

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